COLUMN印刷業界は今後どうなる?抱えている課題と将来的展望を詳しく解説!
ITの急速な発達が多方面で見受けられますが、印刷業界も例外ではありません。
紙からデジタルへの移行が進んでいる今、今後印刷業界がどうなっていくのか気になる方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、印刷業界が現状抱えている課題や今後の展望を詳しく解説します。
印刷業界の仕事内容|概要をわかりやすく解説
書籍、ポスター、製品パッケージなど、あらゆる印刷物の製造や取引を行う業界が印刷業界です。
また、印刷業界は種類ごとに次の4つに分かれています。
種類 |
概要 |
出版印刷 |
新聞、雑誌、書籍、コミック等の印刷 |
商業印刷 |
ポスター、チラシ、カタログ等の印刷 |
事務用印刷 |
帳票、ノート、名刺等の印刷 |
包装印刷 |
商品のパッケージ、梱包用の箱、ペットボトルのラベル等 |
上の表を見てもわかる通り、印刷は人々の生活と密接に関わっています。
印刷業界の現状|今後に向けて抱える課題
印刷業界の現状については、主に次の2点がポイントとして挙げられます。
・デジタル化により避けられない市場縮小
・コロナがもたらした外出自粛と巣ごもり需要の影響
それぞれの観点から、印刷業界が今抱えている課題について考えていきましょう。
①デジタル化により避けられない市場縮小
デジタル化の進行により、特に出版印刷の需要減少が続いています。
スマートフォンやタブレットが広く普及したため、紙媒体の販売数が減り、対して電子書籍の需要が右肩上がりとなっているのが現状です。
雑誌の廃刊も相次いでいます。
また、PC上のレイアウトをそのまま印刷できるDTP(デスクトップパブリッシング)の技術がここ数年で大きく発達しました。
そのため、外注せずとも個人で簡単に印刷ができるようになり、印刷会社としては大きな打撃を被っています。
デジタル化の勢いは今後も加速していくと予想されます。
この勢いにどう立ち向かうか、あるいはデジタル化と従来の印刷技術をどう融合させるかが現状の課題といえるでしょう。
②コロナがもたらした外出自粛と巣ごもり需要の影響
新型コロナウイルスの流行は、印刷業界にも大きな影響をもたらしています。
テレワークの増加により、オフィスで事務製品を使用する機会が激減したため、比例して事務用印刷の需要も減少しています。
また、外出自粛や混雑緩和のため各種イベントが軒並み中止となり、パンフレットやカタログ製造も大きく減りました。
一方で、在宅時間の増加によりテイクアウト商品や通販商品の需要が拡大しています。パッケージや梱包資材の印刷は、コロナ流行以降受注量が増え続けています。
コロナがもたらした数多くの影響をどう乗り越え、新たな需要にどう応えていくかが印刷業界に求められています。
【徹底予測】印刷業界は今後どうなる|期待される新たな可能性
今後の印刷業界の展望として、次の3点をピックアップして解説します。
・パッケージ・包装の高需要
・DX導入による生産性の効率化
・異業種や新事業への積極的参入
厳しい状況に置かれているのは事実ですが、印刷業界は衰退の一途を辿っているわけではありません。
新たな可能性も秘めているため、ぜひ今後の印刷業界に注目していきましょう。
①パッケージ・包装の高需要
今後においても、包装印刷の高需要が続いていくと予想されます。
他社との差別化を図るため、多種多様なパッケージが数多く登場するでしょう。
また、ライフスタイルの多様化により、昨今は個食化が進んでいます。
たとえ家族と生活しているとしても、フレックスタイム制による勤務時間の差などにより、家族全員で食事を摂る機会が減っています。
夫婦共働きが増えているのも個食化増加の要因の1つです。
これにより、個食用の包装についても需要が増加していくでしょう。
②さらなるデジタル技術への注力
多くの業界で進んでいるDXの導入が加速していますが、印刷業界においても活用が期待されています。
そもそもDXとは、デジタル技術を駆使し、人々の生活やビジネススタイルを変容させる現象を指しています。
なお、すでにDX導入を実現している企業は少なくありません。
ある印刷系企業では、全国の印刷会社の印刷機稼働状況を一括Web集約し、非稼働時間を有効活用したシェアリングプラットフォームの運用を行っています。
これにより、印刷機の効率的な稼働が可能になりました。
また別の企業では、印刷業で培った技術を活かし、メタバースサービスの基盤を提供しています。
リアルな色味や質感について、高精度での再現を印刷技術の視点から追い求めています。
AIの台頭なども目覚ましい今、デジタル技術は今後も右肩上がりで発展していくでしょう。
印刷技術とデジタル技術の掛け合わせに、大きな注目が寄せられています。
③異業種や新事業への積極的参入
印刷業のみに専念するのではなく、これまで築き上げてきた印刷ノウハウを活用する形で業種転換したり新事業に参入したりする企業もすでに出始めています。
以下は異業種・新事業参入の一例です。
・販促のためのソリューション提供コンサルティング業務
・電子化した出版物を閲覧できるサイト運営
印刷業界で今後生き残っていくためには、より幅広い視点での企業経営が求められるでしょう。
まとめ
デジタル化の波により、印刷業界の市場が減少傾向にあるのは避けられない事実です。
数多くの課題を現状抱えているのも否定できません。
しかし、コロナによる新たな需要拡大やデジタル技術の有効活用など、印刷業界は大きな可能性も秘めています。
多くの印刷関連企業が、将来的な方向性を意欲的に模索し続けています。
その技術がこれから世の中でどんな風に光っていくのか、今後の印刷業界に期待していきましょう。